カルスペの日記

気の向くままに色々なことを書きます

進級モデルで遊んでみる

今回は進級モデルで遊んでみましょう(マルコフ連鎖を使います)。
(参考: https://upo-net.ouj.ac.jp/tokei/xml/k3_07010.xml )

進級率(4年生は卒業率とします)を \alpha、留年率を \beta、退学率を \gammaとして、

 0 \lt \alpha , \beta , \gamma \lt 1

 \alpha + \beta + \gamma =1

を満たすとする。

また簡単に計算できるように各学年の進級率、留年率、退学率はすべて等しいと仮定する。

要するにこんな感じ↓

f:id:Akyuine:20171226170437p:plain
概略


このときの遷移確率行列 P
 P = \begin{pmatrix} \beta & \alpha & 0 & 0 & 0 & \gamma \\ 0 & \beta & \alpha & 0 & 0 & \gamma \\ 0 & 0 & \beta & \alpha & 0 & \gamma \\ 0 & 0 & 0 & \beta & \alpha & \gamma \\ 0 & 0 & 0 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 1 \end{pmatrix}
となる。
 Pの各成分は先ほどの図に書かれている各番号に対応させている。


遷移確率行列について簡単に説明すると、 i j列成分は「現在 iである時に、 jとなる確率」を表している。

例えば、上の Pの3行4列成分は「現在③であるときに④となる確率」を表していて、この場合は単純に進級率 \alphaとなる。


 n年目( n \geq 0 )の各学年及び卒業、退学した人数の分布を \pi_n= ( a_1 , a_2 , a_3 , a_4 , a_5 , a_6 )とする。

また毎年新入生(1年生)が N人入ってくるとし、
 a = ( N , 0 , 0 , 0 , 0 , 0 )
とおく。

このとき、以下の漸化式が成り立つ。
 \pi_{n+1} = \pi_n P + a

では実際に数値を入れてやってみましょう。
 \alpha = 0.799 , \beta = 0.2 , \gamma = 0.001 , N = 1000 , \pi_0 = (0 , 0 , 0 , 0 , 0 , 0)
で10年経過させた場合、以下のようになりました。

(Cで計算)
1 th year
[1]: 1000
[2]: 0
[3]: 0
[4]: 0
[5]: 0
[6]: 0
2 th year
[1]: 1200
[2]: 799
[3]: 0
[4]: 0
[5]: 0
[6]: 1
3 th year
[1]: 1240
[2]: 1118.6
[3]: 638.401
[4]: 0
[5]: 0
[6]: 2.999
4 th year
[1]: 1248
[2]: 1214.48
[3]: 1021.4416
[4]: 510.082399
[5]: 0
[6]: 5.996001
5 th year
[1]: 1249.6
[2]: 1240.048
[3]: 1174.65784
[4]: 918.1483182
[5]: 407.555836801
[6]: 9.990004999
6 th year
[1]: 1249.92
[2]: 1246.44
[3]: 1225.72992
[4]: 1122.1812778
[5]: 1141.1563430428
[6]: 14.5724591572
7 th year
[1]: 1249.984
[2]: 1247.97408
[3]: 1241.051544
[4]: 1203.79446164
[5]: 2037.779184005
[6]: 19.416730355
8 th year
[1]: 1249.9968
[2]: 1248.332032
[3]: 1245.34159872
[4]: 1232.359075984
[5]: 2999.61095885536
[6]: 24.35953444064
9 th year
[1]: 1249.99936
[2]: 1248.4138496
[3]: 1246.485613312
[4]: 1241.49975257408
[5]: 3984.26586056658
[6]: 29.335563947344
10 th year
[1]: 1249.999872
[2]: 1248.43225856
[3]: 1246.7797884928
[4]: 1244.2419555511
[5]: 4976.22416287327
[6]: 34.3219625228301



今度は各学年の定常状態がどうなるのか計算してみましょう。
先ほどの遷移確率行列 Pから⑤、⑥の行と列をなくす、すなわち
 P = \begin{pmatrix} \beta & \alpha & 0 & 0 \\ 0 & \beta & \alpha & 0 \\ 0 & 0 & \beta & \alpha \\ 0 & 0 & 0 & \beta \end{pmatrix}
とする。

また a = ( N , 0 , 0 , 0 )とする。

このとき定常分布を \piとすると、
 \pi = \pi P +a
が成立し、
 \pi = a ( I - P)^{-1}
と計算できる。
 (I - P)はこの場合に関しては正則なので逆行列は存在します。

 (I - P)^{-1} = \frac{1}{(1 - \beta)^4} \begin{pmatrix} (1 - \beta)^3 & \alpha (1 - \beta)^2 & \alpha^2 (1 - \beta ) & \alpha^3 \\ 0 & (1 - \beta)^3 & \alpha (1 - \beta)^2 & \alpha^2 (1 - \beta ) \\ 0 & 0 & (1 - \beta)^3 & \alpha (1 - \beta)^2 \\ 0 & 0 & 0 & (1 - \beta)^3 \end{pmatrix}

であるから、

 \pi = ( \frac{N}{1 - \beta } , \frac{ \alpha }{(1 - \beta)^2} N, \frac{ \alpha^2 }{(1 - \beta)^2} N , \frac{\alpha^3}{(1 - \beta)^4} N)

となる。

先ほどの計算での \alpha =0.799 , \beta = 0.2 , N = 1000を代入すると、

 \pi = ( 1250 , 1248.4375, 1246.876953 , 1245.318357)

となります。

大体こんな感じで各学年の人数は落ち着くという計算になります。

疲れたのでこれにて